「老後は年金で暮らすもの」
私たちは長い間、そう考えてきました。
真面目に働き、保険料を納めていれば、老後は最低限の生活が保障される。
多くの人が、疑うことなくそう信じています。
しかし、実際に年金だけで暮らす生活を、私たちはどれほど具体的に想像できているでしょうか。
老後生活で、年金の中から家賃はいくら払えるのか。
食費はどこまで出せるのか。
病院にかかる余裕はあるのか。
「なんとなく不安だ」と感じている人は多くても、数字として向き合っている人は、驚くほど少ないのが現実です。
みんながもらっている平均の年金額では、あなたの生活は保証できないかも。
よく聞く話があります。
「年金の平均受給額は月14万円程度」「夫婦なら22万円くらい」。
この数字を見て、意外と何とかなるのではと感じる人もいるかもしれません。
しかし、ここに最初の落とし穴があります。
年金の平均額は、
・長く働いた人
・収入が高かった人
・厚生年金に加入していた人
これらの人たちをすべて含めた数字です。
自分がその平均に当てはまる保証は、どこにもありません。
さらに言えば、年金の平均額は生活費を基準に算出されたものではないのです。
生活費と照らし合わせなければ、その数字に意味はありません。
具体例:年金月13万円で暮らす現実
ここで、ある男性のケースを考えてみましょう。
・年金収入:月13万円(年金は2か月に1回まとめて支給)
・一人暮らし
・持ち家なし(家賃あり)
支出をざっくり書き出すと、次のようになります。
- 家賃:5万5千円
- 光熱費・通信費:1万8千円
- 食費:3万円
- 医療費・日用品:1万5千円
合計:約11万8千円
数字だけを見ると、ギリギリだが生活できそうに見えます。
しかし、ここには 突発的な支出 が一切含まれていません。
・冷蔵庫が壊れた
・歯の治療が必要になった
・冠婚葬祭が重なった
こうした出来事は、いつ起こるかわかりません。
月に換算すれば数千円、数万円の誤差ですが、年金生活ではこの誤差が命取りになります。
年金生活が苦しい本当の理由
「年金が少ないから苦しい」
確かにそれも一因です。しかし、本当の理由はそれだけではありません。
年金生活が苦しくなる最大の原因は、
収入が増えないのに、支出は予測できないことです。
現役時代であれば、残業をする、副業をする、転職を考えるといった選択肢がありました。
しかし年金生活に入ると、収入はほぼ固定されます。
一方で、支出は年齢とともに増える傾向があります。
特に医療費、介護、住まいの修繕費、そして、物価上昇などは、避けて通れません。
この「増えない収入」と「予測できない支出」の組み合わせが、年金生活を不安定なものにし、人々の心を不安にするのです。
「貯金があるから大丈夫」という危うさ
年金だけでは足らないと分かると、多くの人はこう言います。
「貯金があるから大丈夫だ」
確かに、貯金は大きな支えになります。
しかし、ここにも見落とされがちなポイントがあります。
貯金は、使えば確実に減ります。
しかも、老後はいつまで続くか分からないという状態が続きます。
70歳で使い始めたお金が、
80歳まで必要なのか、90歳までなのか、100歳までなのか──誰にも分かりません。
だからこそ、多くの高齢者がこう感じます。
「使ってはいけない気がする」
「減らすのが怖い」
結果として、お金があるのに使えない生活に陥ってしまうのです。
教訓:年金は「生活費のすべてを支える」ではなく「土台の一部」
ここで大切な教訓があります。
年金は、生活をすべて支えるお金ではない
年金は、生活の“土台の一部”にすぎない
この前提を持つかどうかで、老後の見え方は大きく変わります。
年金だけで暮らそうとすると、
・我慢が増える
・不安が消えない
・選択肢がなくなる
一方、年金に「少しの上乗せ」を用意できれば、心にも生活にも余裕が生まれます。
では、何をすればよかったのか
ここで、「もっと早く知っていれば…」と感じた人もいるでしょう。
しかし、大切なのは後悔ではありません。
お金で後悔しない人が共通してやっていることは、非常にシンプルです。
- 年金額を早めに確認した
- 自分の生活費を把握した
- 足りない分を少しずつ準備した
特別な投資や高い収入は必要ありません。
「現実を直視したかどうか」、それだけの違いです。
今からでも遅くない、現実的な第一歩
この記事を読み終えたら、ぜひ一つだけ行動してください。
紙とペンを用意し、
・将来の年金額
・今の生活費
この二つを書き出してみてください。
そして、こう問いかけてみてください。
「年金だけで、この生活を続けられるだろうか」
考え始めた時点で、すでに一歩前に進んでいます。
最後に
年金だけで暮らすという現実は、決して明るい話ばかりではありません。
しかし、知らずに迎える老後と、知った上で迎える老後とでは、まったく違う景色になります。
老後は、突然始まるものではありません。
今この瞬間から、静かに続いている時間の延長線上にあります。
どうか、「その日」を迎える前に、
一度だけでいいので、自分のお金と向き合ってみてください。
その小さな行動が、将来のあなたを確実に助けてくれます。
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